スポーツのブログ

欧州サッカーに関するブログです

[映画] 富田克也『バンコクナイツ』(2017)

f:id:djsportsmanship:20170226004039j:plain
2017年2月25日(土)@ テアトル新宿

 観賞前には一抹の不安を抱いていた、スタジオ石(stillichimiya)による撮影が非常に良かった。ロングショットはどれもばっちりキマっていて、バンコク~イサーン~ラオスの甘美な遠景が頭に焼き付く。横移動のカメラがなかなか特徴的で、乗り物を面白く撮れていたのも◎。物語の軸がバンコクを離れるまではやや散漫な印象も受けたが、オザワ(富田克也)がラオスに向かい始めてからは一気にスクリーンに引き込まれた。空撮が捉える地を穿つ穴たちと、けたたましく轟く爆撃音は非常にクリティカル。ラストの俯瞰ショットには息を呑んだ。

 途中、イン(パンジャリー・ポンコン)が放った"I'm woman!"という言葉。あるいはラストの"イム(女性)"という字幕。共にラック(スベンジャ・ポンコン)への、あるいはすべての女性への賛歌のように響く。極上のロードムービーでありながら、ある意味では真摯なドキュメンタリーでもある。バンコク - イサーン、日本人 - タニヤの風俗嬢、先進国 - 途上国…。あらゆる対立項を周縁の存在として解すラックの強さにやられっぱなしだった。きっと侯孝賢なら、もっと艶やかなバンコクに仕立て上げるのだろうか?

Women of the world take over

'Cause if you don't the world will come to an end

And it won't take long


Jim O'Rourke - Women of the World